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徒然草子G

〜 私的『痔』日記 〜

入院生活4


98年5月16日(土)のこと

術後15日目。
6:40、9:20の2回排便。昨夜、お好み焼きパーティで食べ過ぎたせいか、便通多し。
今日から処置の時の注射がなくなった。嬉しい。別段怖いわけでもないが、やはり色々な看護婦さんがいるわけで、ベテランの方もいらっしゃればキャリアの短い方や、スランプ(マジにある!)の方もいらしゃるわけでして。。。私も、2度ほど痛ぁい思いをさせていただきましたワン(笑)
注射を通して好きだったのは、私と同年輩くらい(もうちょい若いか。失礼)のベテランの域に入る看護婦さんである。注射器が血管をとらえ注入を開始した時の「大丈夫ですかぁ。痛くないですかぁ。」と言う少し甘い声というかしゃべり方にドキドキきてた(笑)
患者同士のバカ話のなかでも看護婦ネタは結構おもろい。また盛り上がる。時にはいつの間にか看護婦もその輪のなかにいたりして。(笑)

今日から外出OKとなったが生憎の雨。

以下、日記「徒然草子」より
今日、外出許可が出た。
外出許可というほど大それたものではなく、術後2週間経過して特に問題がなければOKなのであるが。2週間ぶりに出るシャバは大雨。にもかかわらず、外に出てみたい欲求にかられ傘をさし散歩に。ソックスがなかったが臭くなること覚悟で素足のまま靴を履く。
いやぁ、外って以外に段差やら障害物とか多いもんだと痛感する。おまけに水たまりとか怖くてまたげなくてオロオロしながら歩いた。約1kmくらいか駅まで歩く。ふぅとひといき。妻に電話したり、道行く人を眺めたりしただけで戻る。
帰り道の長かったこと。帰りはオシリがすれたのかかゆくてかゆくて、病院へ帰るなりウォシュレットで「あぁ、E気持ち」。約45分の外出であった。やはり足臭くなった(笑)

駅前のバラ満開を越えてるみたい。来週のバラ祭りには早すぎるみたい。ザウルスまでもハードエラーでたまってたメールも送れず、残念。はっきり言ってあせりまくり(汗)

午後は実家へ寄る。妻、章太郎も一緒である。1時間半ほどであるがくつろげた。と言うより予想どおり章太郎と遊んでばかり。夜は足がだるいような、かゆいような、なんとも体力の衰えを実感せざるを得ない一日であった。


98年5月17日(日)のこと

術後16日目。
6:00、排便。良好、いつもオシリに挟んでいるカット綿の色も薄ぅ〜いピンクから薄いベージュ色になってきた。昨日の外出に引き続き今日は外泊。まぁ、外泊ったってウチに帰るだけなんスけどね(笑)

以下、日記「徒然草子」より(一部割愛)
昨日の外出に続いて今日は外泊。
家に戻る。いやぁ、やっぱウチはいいでんなぁ。のんびりのびのびって感じでしょうか。まっ、ほとんど章太郎くんと遊んでたわけだけど。明日からは外出を利用して出社する予定(フルタイムではない)で、今日一日がいいリラックスタイムになったと思う。

ウォシュッレットとかないので、気軽にオシリを洗ったりできないのが難点。便通(まだしてない、明朝の予定)の時が少し心配。。。柔らかいのがすんなり出てくれればいいんだけど。4時過ぎたら腹が減ってきた。体が病院タイムになっちゃってるよぉ〜(笑)


98年5月18日(月)のこと

術後17日目。
6:00、排便。良好、ほっ。

昨夜は夜更かししたにも関わらず朝は6時前に起床。お約束の牛乳がまだ来てないじゃないの、であったがドクダミ茶グビグビでOK、OK。最も心配していた便通であったが一安心。ウォシュレットがないので、携帯用ウォシュレットで洗浄。

携帯用ウォシュレットは洗浄という面では十分機能を果たす。但し、容量に限りがあるので肛門付近全体をゆっくり暖めるとか「かいーところ」を水圧で掻くとかはチョット無理。それと、ある程度練習して位置を感覚的に覚える必要があるのでは(日常的に使うようになればすぐ覚えれそうであるが)。
和式の時の方が使いやすい(うまくポイントにヒットできる)と思われる、が和式ではまだ怖くて排便できそうもない(笑)。 洋式の場合は、前からすると便座とイチモツ(たいしたものじゃないんですが…)が少し障害物になるし、後ろからだと中腰にならざるを得ないので膝等が弱い人はチョット辛いかも。少し浮かしすぎると発射方向がずれると足を伝って水が流れることもあるので要注意。早くいいポジショニングをつかみたいものである。
冬場は水だけだと厳しいものがあると思われる。どこにでもお湯があるわけではないので、瞬間で適温になるなんて機能があるといいのだけど。

今日から又、少し帰らないというのがわかるのか章太郎が出掛けるのに抵抗して愚図ったが、車を発進させる。車の運転、乗車もできるだけ控えた方が言われたが他にアシがないので自分で運転していく。久しぶりの会社。あれこれしなくちゃならないことが溜まっている。やはり、会社とかに出ると長時間座りっぱなしだったり、急に立ったり屈んだりで危険もいっぱいなのだなと実感する。今週はできるだけ無理をせずパートタイムジョブで頑張ろう。


98年5月19日(火)のこと

術後18日目。
6:20、排便。良好。少しリキんでも(あくまで少ぉ〜し)ほとんど痛さも感じなくなってきた。
今朝一番お約束の「おしるし」があった。カット綿を見ると薄いベージュの真ん中に薄茶色の少し粘りけのあるものが付いていた。これが一体何物なのかよくわからないが(うんこじゃないですから、ちなみに)、みんな一度は出るみたい。そしてこれが出た後はほとんど何も付かないと言われていたが、実際私もそうであった。

先週末より家に帰ったり、今週は会社に出てみたりして、病院内で過ごす時間が少なくなってきたが、病院内では相変わらず「うんこ・おなら・オシリ」の話ばかりである。一日中と言っても過言ではない。今いる病室は喫煙コーナーのすぐ隣でたまり場になっており、四六時中「うんこ」の話を聞いてるような気がする。
日々、新人患者がやってきて同じような話ではあるが「あの日はこんなに痛かった」とか「こんな格好で歩いていた」だとか、トイレから出てくる患者の表情や歩き方を面白おかしく評価しあったりで、過去の経験・代々伝わる噂や伝説にライブ中継(これが一番面白い!)ありで飽きない。

痔の話ってのも多い。そこで興味深いのは「痛くて痛くて手術した」とか「何年間くらい痛いのを我慢してた」と言う人が以外と少ないということである。痔の不快感とか多少の出血を経験した程度の人が大半で、私が経験したような「痔の痛み」を知っている人は少数派なのである。
これはあくまで仮説なのであるが、痛い痔主は病院にも行けず、じっと我慢しているのではないか? 行けずなのか行かずなのかはいいとして、つい先日までの私もそうだったわけで「わかっちゃいるけどやっぱり行かない」と、人知れず市販のクスリで対処療法するだけで辛抱してるんじゃないかと思ってしまう。病院で知り合ったごくごく限られた人数でのサンプリング(笑)なので仮説にもならないと思うが、ひょっとしたらそうかもと自己中心的(自分がそうだから)に思いをはせる。
どうなんでしょ?


98年5月20日(水)のこと

術後19日目。
8:40、排便。良好。昨夜は何故だか目が冴え冴えで、寝たのが2時過ぎ。朝は相変わらず6時前に目が覚める。寝不足なのかどうかわからないが朝一の便が出ず。朝食後、やっと出た。

朝起きて、いつもの階段昇り降り運動をやってる最中、夜勤の姐御看護婦に出くわす。「一緒に散歩しない?」と誘われるまま付いていく。と、そこにはゴミの山。「さぁ、ゴミ捨て手伝ってネ(笑)、あの駐車場の向こうだから。」と厳命が下る。全く患者をこきつかう看護婦である。それに、もっと近くにゴミ収集場所があるのに町内の組が違うとかで、とほほである。
しかし、ゴミの多いこと。もちろん医療、処置関係のゴミではなく入院患者の出したものばかりである。4個ずつ持って、何往復したのであろうか。「はい、ありがとね。」で終わり〜。 何? ジュースか牛乳の1本位奢ってヨ(笑)

今日は、外泊許可が出てるので、会社で終業時間まで仕事し帰宅する。定時で帰れるなんて夢のよう。でも少々くたびれたかな。腹もペコペコで帰りの車の中では腹減り過ぎて気持ち悪かった。帰るなり、シャワーでオシリを洗浄。ひゅー、ええ気持ちでんなぁ〜。ビールをぐびッといきたかったけど、退院まで我慢することにした。多分、1杯くらい全く問題なかろうが気持ちの問題よ。あぁ、酒呑みた〜。


98年5月21日(木)のこと

術後20日目。
7:15、排便。良好。うむ、うむ、家でも大丈夫だな。やはり、ウォシュレット欲しいなぁ。「もう、出たの? 痛くもないの? よかったねぇ。」と妻も嬉しそうに笑ってる。

今日は朝から通常勤務。これまでは、昼に処置しに病院に帰ったり、早い夕食までに帰ったりで終日仕事をしたのは今日が初めて。今週の月曜から「ならし運転」しているつもりだったが、ほんの少し疲れちゃったかな? 結構、ディスプレイに向かってる時間が長かったので、目が少々と座り疲れでオシリが痛い。オシリといっても肛門ではなく臀部の方だけど。
ただ、同じ姿勢を続けて血行が悪くなるってのは、痔の大敵だからいろいろ工夫しなきゃ。病院に門限ギリギリの19時に戻ってすぐウォシュレットした時は、何故だかホッとしたりして(笑) 家に帰ってホッとして、病室帰ってホッとして、完全な二重生活?(笑)
まだ、8時半というのにとっても眠いや。早く寝よう。今日明日の二晩でいよいよ退院だ!

今日入院した人(明日手術)、二度目の「痔」の手術らしい。少し気になるなぁ。明日には詳しい話が聞けるだろう。


98年5月22日(金)のこと

術後21日目。
6:30、排便。良好。もう完璧だね! でも、下剤(コーラックみたいなピンクの小粒剤)と軟便剤(粉調合薬)を飲んでるからなぁ。今週は、自分なりに薬を減らしたりして、もっと試しておくのだったな。と今さら思う。少々何かあっても(あったとしても、便が硬くてヒリヒリするぅ〜って程度だとは思っているが)ここは病院。私は入院患者なのだから(笑)

昨日入院してきた「帰ってきた痔主」の話であるが、やはり二度目とのことであった。外出してて直接聞いたわけではないが、信頼できる?複数人の証言によれば、
いつものよう寄ってたかって(まるでイジメだね〜(笑))新人クンに手術前の洗礼をしようとしたらしいのだが、二度目と聞いて少し静かになった。5年前に最初の手術と聞いて「ひぃッ、そりゃ〜」と一歩下がった。そしてとどめの「前もここでやったんですよ。」で、みんなシュンっとなったらしい。『痔瘻』と聞いて、やや持ち直したモノ、「はぁ、頑張って下さいね。マジで」と激励の言葉もチカラなく肩を落としたモノありとのことである。「大丈夫ですよ。前と全く違うとこに出来てしまったわけだし、そんなにある話じゃないんだから。」と、28歳になる若者に逆に励まされたとか。
痔核組、痔瘻組、複合型組、みんな術後のケアと注意を再認識させられたのである。

今日は午前中のみ外出を利用して出社し、少しだけ仕事をする。昼前に病院に戻り、最後の入院生活を満喫(笑)。満喫ったって相変わらず喫煙コーナーや娯楽室でバカ話に花を咲かせるだけなんですけど。すでに「帰ってきた痔主」の衝撃や感銘どこへやら。
午後、お礼の買物に少し外出。先生にはゴルフボール。ほんとは金一封が一番好きなのかも知れないけど…(笑)。シングルらしいのでお気軽なとこでゴルフボールにした。おちゃらけでキティちゃんボールも1個添えておく。看護婦には、手焼きクッキーの詰合せ。定番のストッキングって手もあったが予算の都合上、クッキーにした。夜勤の看護婦(日勤と夜勤が完全に別担当であった)と、まかないさん(調理師)にはそれぞれキャンディを別に用意した。

入院患者にはヨーグルト(スーパーの値札ついたまま(笑))を買い、各病室を回る。お礼かたがたと言うところであるが、いたるところでウンコの話をはじめ痔談義で長居をしてしまう。最後に配ったとこでは、ヨーグルトぬるくなってたりして(笑)。
いつの間にか最古参。みんなに祝い励まされたり、生意気にも相談にのったりと、退院するのが嬉しくもあり、どことなく淋しくなるような不思議な気分であった。


98年5月23日(土)のこと

術後22日目。退院。
5:15、入院生活最後の排便。良好。

ついにというか、やっとというか、待ちに待ってた退院日。

昨夜は10時頃に一度寝てしまったのであるが、11時頃目が覚めてしまい、そのあとなかなか寝つけず(ぞんぞがついた?)結局2時過ぎまで起きていた。そして衝撃の朝ッ!
みっし、みっしっ、って音で目が覚めたとたんにグラグラッときた。4時50分。
「じ、地震じゃぁ〜」
どきどきしながら、貴重品の在り処を頭にえがき「ウチの方は大丈夫か、早くおさまってくれ」と祈りながらじっと身を固める。すぐにおさまった。ベッドから起き抜け、窓とドアを全開にする。余震を心配しながら、廊下に顔を出す。
術後4日目の向かいの部屋のIさんがトイレから出てくる。「あっ、おはようございます。早いですね〜。痛たたたッ、ははは」と照れ笑いしながらオシリを押さえて声をかけてきた。
「地震でしたね。たいしたことなかったけど。大丈夫でしたか?」
「えっ? 地震ですか? 気がつきませんでしたヨ。」と。
確かにたいした地震ではなかった(震度2)。きっと、それどころではない格闘を朝早くからひとりトイレでしてたのだろう(笑)。入院患者の半数くらいしか気付かなかったようである。かくして、入院最後の朝は明けた。

最後の検温も済ませ、うだうだ話をしながら退院の準備。余ったカップ焼きそばをFさんにあげる。朝食も残さずいただく。入院期間中、一度も残さずいただくことができた。こちらの病院ではかゆ食とかは全くなく、手術前後もすべて普通食であった。差し入れ自由、食事制限無しの病院だったせいか、給食を残す患者が多かった。いつもいっぱいになる残飯を見て、もったいな〜、贅沢なやっちゃと正直なところ思っていた。

8時30分。処置室へ行く。
先生自ら洗浄、チェック(内部の触診はなかった)し、最後に注入式の座薬をズビッと。「ひっ」と気持ちの上で背中は反ったが、それほど痛いわけではなかった。それよりも「これ、ヒビ入ってるねぇ。これ」と私のオシリを覗き込みながら先生が言ったのに驚かされた。洗浄機のノズルのことだとわかりホッ。

迎えが来るのを待つ。今朝まで共に戦い共に笑った仲であるのに、話をしててもどことなく照れくさい。お迎え兼現金輸送車(笑)が来る。保険用の証明書を提出し、会計を済ませる。費用は全部で10万6千円ほど。3人部屋だったし(途中からは運良く?一人部屋みたいになっちゃったけど)、風呂も週2回、給食費も安そうであったが、予想以上に安上がりに済んだ。
保険に関しては、保険会社や契約内容により違うので一度確認されるとよいと思われる。特に手術内容によっては対象外(手術費)の場合もあるらしいので、注意と医師への相談(手術内容の書き方)されるとよい。例えば「裂痔縫合」だけでは対象外の保険もあるみたい。

最後に先生に挨拶し、お礼の品を手渡す。「あ、はい。次は月曜に来てください。お大事にして下さい。」と、いつまでも医師モードだったりする。

「もう、戻ってくるなよ〜。」
「頑張ってね〜。」
「ウンコの話したくなったら、いつでも面会に来てよね〜。ウォシュレットも使い放題だよ〜。」
と声をかけられるなか、車に乗り込む。
新しいスタート。いい天気。妻の顔も、章太郎の顔もにこやかだった。



感謝。




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