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徒然草子G

〜 私的『痔』日記 〜

手術への道


98年4月11日(土)のこと

ついに今日病院へ行った。

昨夜は小さい打ち上げがありタクシーで帰宅。会社へは妻に車で送ってもらう。行く決心はついていたのだが、あれこれと往生際の悪いような言葉が口から出ちゃう。(しかし、何かしゃべってないとどうも落ち着かない気分であったのだ。)
最後は妻も「もう、いい加減にしたら。私達(←私達ときた)だって産婦人科とか行くのは最初恥ずかしいんだから。自分でも見たことないようなところをガバッと広げるんだから。オシリくらいいいじゃない、それに横向いてオシリだすだけじゃないの。(←そうなの?) さぁ、行った行った。それともついて行ってあげようか?(笑)」と。
「ひとりで行けるわい。それにかわいい看護婦さんいるかもしれないし。(と、まだ負け惜しみを言う)」
「ったく。」言いながら「そうね、今は新入の若い娘や実習生とかもいるかもよ。まぁ、今日の今日手術をするわけじゃないんだし。とにかくみんな(患者さん)同じ悩みもってんだから堂々とネ。(←何が堂々とだ!)」

マナーとして(?)きれいにシャワーあびて準備を整える。朝、少し便意はあったのだが、あの状態(痔核が脱出)ではどう考えてもいやと言うより死ぬほど痛いだろうから我慢した。通常は引っ込んでいるんだけれど、今日に限っては排便後でもないのに何故だか少しだけかわいい頭をのぞかせていた。「うん、うん、ちょっとだけ出てるね。いつもと全然違うから大丈夫、大丈夫。」って、私のオシリを覗き込む(チェックする)妻の声がむなしい。

11時過ぎに自分の車で行く。地元ではコノ道では一番との病院である。駐車場が狭く3回も切り返して(1回は余計だった)やっと車から降りる。
玄関を入る。50代の女性がすれ違いに出てきて軽く会釈。(やっぱ、女性もいるんだ)中には、男女各3人の患者らしき人。男性は若い作業着のおにぃちゃん風、同年配くらいと50ちょい前って感じの男性が各1名。私のあとから、年配の少し上品なおじいさんも入ってきた。女性は40〜50くらいのおばさん(失礼!)がふたりと、20歳代の女性。1歳になるかならないかの赤ちゃんを連れていたので、ひょっとすると出産時以来の痔かな?などと想像する。

受付で「どうされましたか?」と聞かれ「えぇっと、痔がちょっと…」って答えるが早いか問診表を渡される。
記入の仕方や保険証の説明を聞きながら、(おっ、若い看護婦さんもいるな。)などと診療室内を物色。問診表を記入。すぐに呼ばれて、小奇麗なベテラン看護婦さんが問診表に基づきヒアリング。
「痔になる人の典型的なパターンじゃね。」と言われる。へらへらするよりしかたがない。平均2〜3日に1回の排便(物ごころついて以来のパターンだし特に異常も感じないので自分では便秘じゃないように思っているが、『便秘』に大きなマルを付けられる)、1回あたり15〜20分以上の排便(「いやぁ、洋式でもしびれがきれるんですよ」って言ったらさすがに笑ってた。)、食事不規則、睡眠時間不規則、運動全くに近いほどしない、等々。
「じゃぁ、呼ばれるまで、5番の診察室の前で待っていて下さい。」と言われるがまま待つ。





すり硝子の向こうにごそごそ人影が。
看護婦さんらしき人影がドアに近づく。ゴクっと唾を呑み込む。
「はい、どうぞ中へ入って下さい。」と、にこやかに(あくまでにこやかに)声をかけられ、診察室に入る。

「よろしくお願いします。」だんだん声が小さくなっていく(笑)
中は先生と看護婦さん2名。ひとりは25、6って感じだろうか、顔は不覚にもよく覚えていない。先生は問診表でもみているのかうつむいいたまま(なんか、チョット怖い)。
診察ベッドがあり(当然であるが分娩台みたいじゃない、普通のベッド)、枕と照明用だろうかスタンドと、と、と、あれは何? シルバーメタリックのサイクリング車に付いてる空気入れのような牛用の浣腸のような器具が無造作に置いてある。もしかして、あれ使うの? アレが入ってくるの? ゲボッ、いやだよぉ、痛そうだよ。いや待てよ。あれだけピカピカでツルツルだったら、スルっと入るかも。ひんやりしてて気持ちいいかも。などと、つまんないウォッチングをしてしまう。

「はい、ベルトとチャックを緩めてベッドにころんで。そうそう、右を下にして、はい、膝曲げて。はい、もう少しお腹の方へ向けて、そうそう。」と看護婦さんの指示。
ここではじめて先生が「はい、大きく口を開けて、アァ〜って言って。痛いですから。はい、アァ〜。」

ちょい待ち。いきなりですかぁ。もっと、先生とお話をして、打ち解けてから・・・
あアああァぁっッ〜〜〜
もっとお話をし・て・か・らぁっぁぁ
ぅぅ、ぃいいっっってぇぇッ
「ほお〜、ふん、ふん、ふんむっ。」
と、先生の息づかいが遠くで聞こえる。

「はい、もう少しですからチカラを抜いて。肛門を緩めて。はい、あぁ〜」
お、おっどりゃぁッー、そんなんできるか。ちきしょ〜。「あぁ〜、ひぃ」(ゼイゼイ)「あぁ〜、ひぃ」(ゼイゼイ)

なんかグリグリされてるような、お尻からお腹に突き上げるような感じ。それにもまして、ホントに痛いのかどうかわからないくらい痛い。めくるめく疝痛と鈍痛、これぞ倒錯の、、、なんて思えないが。看護婦も先生も誰もいなくて、この世のなかに自分とこの痛さだけが存在しているような感じであった。

そして、現実に戻される時が。
だめ、抜かないで。うんこでそう。にゅるにゅると何かが(それが指なのか、先程のシルバーメタリックの器具なのかわからないが)抜けていくと同時に、直腸あたりまで来てたかもしれない便が一緒に外気をめがけて動いているような。
でたらゴメンね。看護婦さん笑わないでね。と祈りながら、それでも洩れ出ないよう抜く力に負けないようオシリを吸い込もうと努力する。それ以上に内痔核がめくれ出ない(脱出すると痛くなるのです。体内にある時は痛くも痒くもない)で体内に止まるよう全身の意識を集中させる。
結果的に便が洩れたりすることはなかった(自分で目にすることはなかっただけ!)し、内痔核もちゃんと体内に戻してもらったのでよかったのだけど…





診察台から降り、どこぞのおじさんがトイレの後身繕いするように「ふぅ、よいしょっと」と、がに股でズボンのファスナーを上げる。

先生が絵を書いて説明してくれる。
はじめて先生の顔を見る。ダンディっていうかニヒルな雰囲気。後で母に聞いたのであるが、かつては(いつ頃?)「玉三郎」とも呼ばれてたらしい。 看護婦さんは? あれ、いない。まっ、いいか。
「ここに内痔核がありますねぇ。古いヤツから新しいヤツまで3つ程。それで、そいつが脱出してます。排便時には必ず出てきてるでしょう。神経の関係で、内にある時は特に痛みはないんだが、出てきたら、そりゃぁ痛でしょぉ。」「はい。」
こりゃぁ切らんと治りませんねぇ手術じゃねぇ。出てきとるコレ(脱出してる痔核の絵を指しながら)だけを切っても完全には治りません。先っぽだけきっただけじゃぁ再発することが多い。ここらへんから全部きれいに切り取らんといけませんねぇ。3週間の入院になります。」
と、まだ入院期間ことなど聞いてもないのに話は進む。
え゛3週間?
うそぉ。3週間って相当ひどい方(?)なのかな? 長めにサバを読んでんのか、もう少し短めを言ってほしかった。と、言うより、まぁ俺くらいなら10日位かななどと何の根拠もなく思っていた。これはハッキシ言って衝撃!

「先生、切らんとダメですか。」
「治そう思うたら手術せんといけんねぇ。薬とかじゃぁ、一時的な痛みは取れるかもしれんけど治らん。」
「切ったら(永久に)治りますか?」←永久にっていうのを明言しなかった。。。
「切りゃぁ、きれいに治る。」(断言されてしまい、ゴタクを並べることを許されなかった)

手術するしないはどっちでもいい。しなきゃ治んないことも覚悟はできてた。しかし、しかし「3週間」ってのは考えこんでしまう。
小さいながらも会社をやってる。小さいだけに一担当として請け負ってる仕事や業務もある。10日位ならGW(今までゴールデンウィークなんて関係なかったけど)をかけて出張が入ってしまったと思えばなんとかなるかなと、都合のいいように考えてたが…

「先生、ほんとに3週間もかかるんですか? ちょっと3週間まとめて休むのは困難な状況なんですが…」
「まぁ、よく相談したり考えて下さい。」
「はぁ」
「今日は注射打って、薬出しときますから、また月曜に来て下さい。」




注射を打ってもらいながら、ベテラン看護婦さんに「手術して3週間位入院したらどのくらいかかるんかなぁ。」と聞く。
「そうねぇ、本人(保険者)だからそんなにはかかんないんじゃないのかなぁ? 私らじゃはっきりわかんないから、会計の時聞いてみればわかるかもよ。」と、のんびり答える。

薬をもらい会計をする。
飲み薬2種類と座薬、それに座薬に塗るらしいクリームみたいな薬。2日分出ていた。注射の必要性がイマイチわかんなかったけど、初診料込みでしめて1840円也。
「ねぇ、ねぇ。」と妙になれなれしく(←オヤジ!)事務の女性に費用のことを聞く。4月から多少上がっているけど3人部屋で10万位かなぁと大雑把な回答。←信じていいんだろうか? もうちょっとみといた方がよさそう?

で、結局内痔核3個(ほとんど4度に近い3度)脱肛との診断であった。

病院を後にして車に乗り、妻に連絡。
「そりゃ、そりゃ、よく頑張って行ったね。」などと子供扱いされてしまった。(笑)
しばし電話で談笑。車を出し会社に向かう。何だかオシリが痛くないぞ。痔核も内にもどしてもらったし、注射でもきいてるのか。このまま治ってりゃいいのになぁ。んなわけない

今年は出産もあるしで、来年の確定申告の医療費控除(たいした額じゃないけど)だけが楽しみ? って、言ってる側から領収書もらうの忘れたよう。。。




98年4月12日(日)のこと

痛ッ!
ひぃ、いててててぇ。入らんよぉ。座薬が入んねぇよぉ。
昨日はすんなり入ったのに。

今日は夕食後に便意をもよおしたので躊躇なくトイレへ。排便後、内痔核はいつものとおり脱出してる。痛くてとても拭ける状態ではない。いつもより痛いんじゃない。風呂に入り、優しくシャワーで流す。長男(4歳)は心配顔をして覗きこんではくるが、一緒に風呂に入れる喜びのほうが大きくはしゃぎまわっている。
お湯にゆっくりつかると気持ちいい。ひとときの幸せ。

優しくタオルで拭いて、さてと座薬入れよう。と、、、
今まで座薬はほとんど使ってなかった。チューブ式(浣腸を小さくしたようなヤツ)オンリーである。使いやすいし手も汚れない、なによりも脱出している痔核に直接ふれることなく薬だけをつけれるからであった。薬局で何度か座薬の試供品をもらったが、これは痛くない時(痔核が脱出していない時)だけ入れたことがある程度。いずれにしても痛い時、つまり排便後のみ対処療法的に薬をつけ、戻るのを待っていたのである。

で、座薬にクリームみたいな薬をつけ、ソロリと挿入しようとしたんだけれど、痔核にあたって「ひぃッ」
少しの辛抱だと思い痛いのを我慢して、むにゅッと押し込む。押し込むけれど、あれなんか違うかな? 痔核と外側の括約筋の谷間、こりゃ。失敗、失敗。もう一度気を取り直してむにゅッ。「ひぃぃ、痛てぇ。」ここも違うのか?

何度かトライするが入らない。と、言うよりどこがどこだかわからない。いったい私のオシリの穴はどこへ行っちゃったの?
妻も参加(長男までも!)するが、もう座薬もオシリもべとべと、ぬるぬる状態で悲惨なありさま。患部はヒリヒリズキズキ、脂汗は出るは、涙はにじむは、で「えぇい、もうダメ! やめたっ!」
がに股、つま先立ち、お腹突出し(オシリ引っ込め)状態で、いつもの薬を取りにいく。「これ、塗ってくれぇ。」と妻に渡し、塗ってもらう。もう気休めでもなんでもいい。

早く切らなきゃダメかな?

寝ころび、少し痛みもひいてきた。
でも、早速、馬乗りになって遊ぶの許して!>章太郎クン




98年4月14日(火)のこと

決めた。
「切る」ことに決めた。

決心したら早かった。あれこれと仕事の段取りをする。多少無理もあるけどGWかければなんとかできそうか。顧客とこちらの都合もあり27日の打合せは動かせそうにないけど。この2〜3日は大きいかも。できれば25日くらいに手術できればベストなんだけどと思っていた。但し、GW外れるようだと日程考え直さなきゃ、との思いを胸に秘め病院へ。

先生に日程があうことの条件付きで手術の申入れをする。
「そうですね、それ(手術すること)がいいでしょう。きれいに治りますよ〜。」って、早速スケジュール調整。4月30日入院で5月1日手術と決まった。

手術することを決めた(それもできるだけ早く)のはいくつか理由がある。

「これは、ほっといても絶対治らない。問題がないかぎり(←あったら困るのけど)切れば治る。」って自信を持って言われたこと。
それなら延々と通院し、やはりいつまでも痛い思いをするより、スパっとやった方が時間的にも費用的にも精神的にも、そしてなにより肉体的にも良いと判断したというのがひとつ。
それに3週間の入院といっても術後の状況によっては3週目からは外出(許可されれば外泊も)可能であるってのもポイントであった。加えてころんだまま(寝たきりじゃなかろうと思う)でも多少は仕事できるだろうなどと甘い考えも少しある。

それと、このサイトを通して勇気を持てたのが大きいのではと思う。自分で言うと変なのだけど、サイト運営者としてではなく1ネットサーファー(笑)として触発されたって言うか乗せられちゃったような感である。
掲示板開設した時は、何か変化がほしいな、痔主の掲示板なんてないからおもろいかも。なんてお気軽でチョット自己満足的な感覚だったのだけど(笑)
体験談をアップされる方があったり、そしてだんだん良くなっていかれるのを目の当たり(実際お目に掛かった方はないのですが)にしたり、励ましやアドバイスのメールいただいたりしてるうちに、ぐぐっと気持ちが盛り上がっちゃって。

それに、サイト運営者としてのハク付けに(笑)、これはジョークだけど、どうもここ数年「いつもシカメッツラしてる」(←「痔」のせいだけではないのは事実だけど)って言われてるし痔核自覚もあり、少しでもにこやかに明るくなりたいなと、気分転換(?)みたいなこともある。(結構、マジだったりする)

子供が3人となることを考え、みんなをだっこして遊んでやりたいと思うと、どうしても弊害となるであろう「痔」を完治させたいという強い思いを持っている。これが一番の理由かも(笑)

そんなこんなで手術することになってしまった。



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